見ないでください恥ずかしい

好き放題書きます 1個あたりは短いかも

夜更け

日付が変わった。さすがにそろそろ風呂に入ろうと発起した1時。汗と涙を流した。髪を乾かしながら思った、「あたたかいものが飲みたい。」。それも自分で作ったものは嫌だ。コップ洗いたくないし。自販機まで約100メートル。1月の東北をなめてはいけない。でも寒さを感じるのもまた冬らしくていいと思った。結局パーカーで寝巻きを隠し、誰も見てないと踏んでサンダルを履いた。寒い。けれど不思議と凍えることはなかった。何度もラインナップを確認した。この自販機に冷たい飲み物しか入れなかった従業員はどういう気持ちだったのだろうか。諦めて冷たくてもいいから甘いもので我慢しよう。ミニッツメイド、久しく飲んでないな。千円札を入れて、すぐに財布にもどした。この寒さで冷たいものを飲むのは正気でないと気がつくだけの賢さが残っててよかった。そこからは賭けだった。右か、左か、目の前に横たわる道路の続く先に目を凝らした。何も見えない。自宅の近くの自販機の場所くらい覚えててもいいようなものだが、二番目に近いものなんてわかりっこない。意を決して左に進む。右は少し行くと坂なのだ。凍っているかもしれない。こちらはサンダルなのだ、転びたくない。曲がり角が光っていた。期待して歩くもマンションの玄関であった。電話をしながら帰路に着く女性とすれ違った。こんな時間に歩きながら会話をする必要があるのだろうか。次の交差点、そこまで行っても見つからなかったら、諦めてミニッツメイドだ。そう決めて歩いた。赤く光る、おなじみのコカコーラの自販機だ。ココアを飲もうと家を出たが、夜中に自販機で買うとなれば甘いコーヒーがいいだろう、となぜか思い直し青い缶の甘だるいコーヒーを買った。名前は覚えられないが、よく見る青くて山が書いてあるあれだ。横断歩道を渡りながら飲み始めた。最近の自販機の飲み物は全体的にぬるい。あっついコーヒーにもキンキンに冷えたコーラにもなかなかありつけない。あのいまいましい冷却専用自販機にたどり着く前に飲み干してしまった。ちょうどいいから捨てていこう。缶を握って冷たいものしか売らない冷徹な自販機に再度向かう。ゴミ箱もなかった。気づいたら青い小さな缶は潰れていた。幼い時缶蹴りをしたあの缶たちはこうやって眠れない、眠りたくない大人が生み出したものなのだろう。そういえば青い缶は必ず潰れていたような気もする。そういうことにしておこう。